Koto開発チームです。「名もなき家事」という言葉自体はもう珍しくありませんが、いざ自分の家で「それって具体的に何?」と聞かれると、意外とすぐには挙げられません。トイレットペーパーの芯を替える、麦茶を作り置きする、宅配の再配達を手配する——こうした家事は、やっている本人でさえ「家事をした」という自覚を持ちにくく、名前がないぶん相手からは存在ごと見えていません。
この記事では、まず名もなき家事をカテゴリ別に具体的な一覧として書き出します。抽象的な説明より先に、実際の項目を見てもらったほうが早いと考えたからです。そのうえで、なぜ名前がないだけで分担がもめるのか、そしてどうすれば見える化できるのかを、家のこと・買い物を家族で共有するToDoリストアプリ「Koto」を開発している私たちの視点で書きます。
名もなき家事も含めて、家のことを家族で共有できるToDoリストアプリを開発しています。App Storeで近日公開予定です。
名もなき家事の一覧|カテゴリ別にすべて書き出す
名もなき家事は、掃除や洗濯のように「これをやる」と決まっている家事のすき間にある作業です。ひとつずつは数分で終わるものがほとんどですが、数が多く、しかも気づいた人がその場で処理するため、担当も回数も記録に残りません。まずはキッチン・洗濯・掃除やゴミ・日用品の補充・子どもや学校関連・人づきあいや事務の6カテゴリで、実際に家庭で発生している項目を挙げます。
キッチン
- 麦茶やお茶を作り置きする
- 調味料や油の減り具合を把握し、切らす前に買い足す
- シンクの排水口ネットを交換する
- 食器用洗剤やスポンジを詰め替える・買い足す
- 生ゴミをこまめにまとめて捨てる
- キッチンペーパーやラップの在庫を管理する
- 密閉容器のふたと本体をペアでそろえておく
洗濯
- 洗剤・柔軟剤の残量を確認し補充する
- 部屋干し用のハンガーやピンチを整理する
- シーツやタオルを交換するタイミングを覚えておく
- クリーニングの預け入れ・受け取りをする
- 洗濯槽クリーナーを使うタイミングを管理する
掃除・ゴミ
- トイレットペーパーの芯を交換する
- ゴミ袋を各部屋のゴミ箱にセットする
- 資源ゴミや粗大ゴミの収集日・分別ルールを把握する
- 掃除機の紙パックやフィルターを交換する
- 排水口や換気扇まわりの掃除用品を切らさないようにする
- 玄関やベランダの掃き掃除をする
日用品の補充
- ティッシュペーパーやトイレットペーパーのストックを管理する
- シャンプー・ハンドソープの詰め替えを買う
- 常備薬や絆創膏の在庫を確認する
- 乾電池や電球のストックを管理する
- 歯ブラシなど細かい生活雑貨の買い足しタイミングを覚えておく
子ども・学校関連
- 保育園や学校の連絡帳を書く
- 翌日の持ち物を準備する
- プリントやお便りに目を通し、提出物を出す
- 行事や参観日の日程を把握してスケジュールに入れる
- 給食エプロンや体操着の洗濯ローテーションを管理する
人づきあい・事務
- 宅配便の再配達を手配する
- 町内会や自治会からの連絡に対応する
- 家族や親戚との予定をすり合わせる
- 家電や家具の保証書・取扱説明書を保管しておく
- 公共料金や各種請求の支払いを確認する
- お礼状や季節の挨拶状のやり取りを管理する
こうして並べてみると、どれも「言われれば確かに家事だ」と思えるものばかりですが、家事分担の話し合いの場に出てくることはほとんどありません。話し合いの俎上に載るのは料理・掃除・洗濯のような大きな家事だけで、この一覧にあるような細かい項目は、最初から数に入っていないのです。
なぜ「名前がない」と分担がもめるのか
名もなき家事が分担のもめごとにつながるのは、量が多いからというより名前がないこと自体が問題だからです。名前がなければ、それをリストに書くこともできず、「今週はこれをやった」と申告することもできません。やっている側は自分がやったことに気づいてすらいないことが多く、やっていない側はそもそも「そんな作業がある」と知らないため、気づきようがありません。
この状態で分担の話し合いをすると、議論はどうしても「割合」の話——家事全体の何割を自分がやっているか、という感覚のぶつけ合いになります。しかし双方が見ている家事の範囲がそもそも違うので、割合の話をいくら重ねても平行線のままです。もめているように見えるのは分担の比率ではなく、見えている項目の数が違うことが原因である場合がほとんどだと、私たちは考えています。
見える化の3ステップ|名前をつける→リスト化する→担当を決める
解決の順番はシンプルです。まず名前をつける——上の一覧のように、作業をひとつずつ言葉にします。次にリスト化して、ふたりが同じものを見る状態にします。片方の頭の中にしかないリストは、結局また「言った」「聞いていない」に戻ってしまうため、リストは共有された1か所にまとめる必要があります。そのうえで、初めて担当を決めるという順番です。項目が見えていない段階で担当や割合を決めようとしても、抜けている項目はずっと担当者不在のまま残ってしまいます。
リストにする作業自体は、ゼロから始めなくても構いません。家事分担表の作り方と無料テンプレートには、この記事の一覧よりさらに広く、頻度別・カテゴリ別に整理した家事の項目をまとめているので、土台として使えます。リストができたあと、実際にどう担当を割り振れば長続きするかについては、共働きの家事分担、もめない決め方で詳しく書いています。この記事では、分担の決め方そのものより、まず項目を漏れなく見える化するところに絞って書いています。
見える化の手段にはいくつか選択肢があり、それぞれ「気づいた人が動かないと伝わらないか」「記録として残るか」という点で差があります。
| 比較軸 | 口頭で 都度伝える | 付箋・メモ | グループ チャット | 共有ToDoリスト型 アプリ |
|---|---|---|---|---|
| 気づく前提 | 気づいた側が言わないと伝わらない | 気づいた側が書かないと残らない | 気づいた側が送らないと伝わらない | 一度リスト化すれば両方がいつでも見返せる |
| 記録が残るか | 残らず、水掛け論になりやすい | はがれたり捨てられたりする | 他の話題に流れて埋もれやすい | 完了履歴として残る |
| 同じものを見られるか | その場にいないと聞けない | 貼ってある場所でしか見えない | 遡って探さないと分かりにくい | いつでも同じリストを両方が見られる |
| 繰り返す家事への対応 | 毎回言うのを覚えておく必要がある | 毎回書き直す手間がある | 同じ内容を毎回送りがち | 繰り返し設定で自動化できる |
Koto
夫婦・カップルで家のこと・買い物を共有できるToDoリストアプリです。名もなき家事も1件ずつタスクとして登録し、担当・期限・繰り返し設定を付けられます。招待コードを送るだけで家族と共有でき、アカウント登録不要・オフラインでも使えます。App Storeで近日公開予定です。
採点しない、という設計判断
名もなき家事を見える化する目的を考えるとき、私たちが最後まで迷ったのがポイント制や公平性スコアの扱いです。家事ごとに点数を付け、月間の合計を家族で比較したり、公平さを数値やグラフで表示したりする発想は、見える化の延長として自然に出てきます。実際、検討の初期段階では私たちも試作しました。
ですが最終的に、Kotoにはポイント制も採点機能も、公平性スコアも意図的に入れませんでした。点数を付けはじめると、意識が「その家事を終わらせること」ではなく「その家事は何点なのか」「自分の点数は相手より多いか少ないか」という数値の比較に向かいやすいと考えたからです。名もなき家事は特に、麦茶を作るのとゴミ袋の補充を同じ1点として並べてよいのか、そもそも点数化しづらい作業ばかりです。無理に数値化すれば、今度は「何点にするか」自体が新しい争点になります。
私たちが見える化で目指したのは、点数の比較ではなく「誰が・何を・いつやったかが、お互いに見えている」という状態です。それが見えていれば、あえて数値に変換しなくても、相手が何をしてくれているかは自然に伝わります。採点をなくすことは機能を削ることのように見えるかもしれませんが、私たちにとってはKotoのcore(核)となる設計判断です。名もなき家事のように地味で数値化しにくい作業ほど、この考え方が効いてくると考えています。
Koto
家のこと・買い物を家族で共有できるToDoリストアプリです。ポイント制や採点機能はあえて搭載せず、「誰が・何を・いつまでに・終わったか」がそのまま見える設計にしています。無料プランに件数の上限や広告はありません。App Storeで近日公開予定です。
よくある質問
名もなき家事にはどんな家事がありますか?
キッチン・洗濯・掃除やゴミ・日用品の補充・子どもや学校関連・人づきあいや事務の6カテゴリに分けられます。麦茶を作り置きする、トイレットペーパーの芯を替える、洗剤の詰め替えを買う、宅配の再配達を手配するなど、ひとつずつは数分で終わる作業が多く、この記事の一覧では30項目以上を具体的に挙げています。
名もなき家事を見える化するにはどうすればいいですか?
まず作業ひとつひとつに名前を付けて言葉にし、次にそれをリスト化して家族の両方が同じものを見られる場所にまとめます。項目が出そろってから担当を決める、という順番を守ることが大切です。順番を逆にして先に割合や担当を決めようとすると、見えていない項目がずっと担当者不在のまま残ってしまいます。
夫やパートナーに名もなき家事に気づいてもらうにはどうすればいいですか?
口頭で不満を伝えるより、まず名もなき家事を一覧にして相手と同じ場所に並べるほうが効果的です。名前がなく記録も残らない作業は、指摘されても「そんなにやっているつもりはなかった」とすれ違いやすいためです。リストと完了履歴の両方が見える状態にすると、気づいていなかった作業の存在そのものが伝わりやすくなります。
Kotoは無料で使えますか?
無料プランは6人までの家族グループで、リスト数・タスク数・繰り返し設定・完了履歴の保持日数に上限はありません。タスクごとのコメント(メッセージ・写真・リアクション)や30人までの家族グループ、クラウド容量の拡大は有料のBitFlap One(月額¥800・年額¥8,000)で利用できます。広告はありません。